マーメイドたちの本気 -第7話-



どうしてこのようになった?


ここから、私の体験談をつづっていきます。


私は20代の前半に一度結婚をし、20代の終わり頃に離婚をしました。
そして、30代となり、他の女性とお付き合いをしていく中で、前回と同じことをくり返していることに気付くようになりました。

一度結婚をし、価値観の違いに思い悩み、大変な思いをしたのに、またどこかで同じように感じる関係を続けている自分。

当時は、それを明確に捉えることは難しかったように感じますが、
心の奥深くで、より明確に実感するようになったのは、確か35歳位のことだったと思います。

その頃には、自分の中に女性への依存心があること、またその奥底には孤独感や寂しさがあることにも少しずつ気づいていました。

同じパターンがくり返されていくうちに、少しずつ見えざるものが見え、浮き彫りになっていく。
悶々とする日々を過ごしながらも、なぜ自分がこのようになったのかを明かしていきたいと思うようになっていきました。

そう。

このように思ったのも、私が出会うことになっている本来のパートナーは、他にいるのではないか。
心の深いところで、うっすらと感じるようになったからです。


そして、私の一大プロジェクトが始まりました。

うっそうとした茂みに入るように、自分自身のことを見直していくことにしました。

幼少時代、あふれる気持ちを抑えて過ごしてきたこと。
そして自分がそのようにしてきたことさえ気づかずにいたこと。
良い子でいようと、自分の寂しさを抑え込んでいたこと。
自分の容姿のことで悩んでいたこと。

これらのことを本当はずっと、両親に打ち明けたかったのです。


私は、毎週のように実家に通いました。
ある時は、ただ一緒に過ごし、またある時は、小さい頃の自分について両親と話をしていくということをくり返していきました。


両親にとっては心苦しい部分もあったかもしれないけれど、私にとっては一大事。
だからこそ遠慮することなく知りたいことはたずね、感じたことは自分から話ししていきました。


このような機会を得ていく中で、自分自身の過去を細かくふり返り、子ども時代のある時から自分が変わっていったことに気付いていったのです。


内側で感じていることを他の人に話さないように、勝手に良い子である自分を、自分で作ってきた私。
ある意味、強さを持っていたわけですが、しかしその内側には、怖さを抱えた少年の甘えたい気持ちがあったのです。


この気持ちに気付いてあげられなかった私は、大人に成長しつつも、一方では女性の内側にその甘えを求めていたのです。
私が本来求めていたものは、心の奥底で求めていたものは、
母親の母性、自分のことを気にしてくれる、悩みをわかってくれる母親の気持ちだったのです。


この点を理解できたことは、私にとって非常に大きなことでした。
本来母親からもらうべき愛を、ある意味拒んでいた私は、積極的にいろいろなことを母に話すようになりました。
また、父と話す時間も以前よりも格段に増えました。

自分自身を深く見つめ返しながら、そして、様々なことを両親と話していく中で、両親が自分に、どれだけ愛を注いでくれていたか、十分に理解できたのです。


このような時間は、私にとって本当に貴重でした。
なぜなら、目に見えないものではありますが、根深いところにあった不安の要因の1つが消えていったからです。

まさに、大人になった私自身をさらに深く安定させてくれた時間だったのです。



2019年11月20日