代表選考レース「何が走りに影響したのか」



私は男子マラソンの代表選考レースをテレビで見ながら、
日本人選手が実力を出し切るにはどうしたらいいか、考えていた。

というのも、私の妻は、とにかく駅伝やマラソンを観ることが大好き。
私も半ば、それにつられて、テレビを一緒に見ていた。

選手の走りを見ていると、どうしても独自の見方になってしまう。
その選手の顔色、走り方、その時の状態など様々、全体的に様子をうかがっていた。

途中から、ある1人の選手に着目していた。
顔色も良く、リラックスしながら走っていて、とても落ち着いている。
見る限り、力走型ではないが、勝負どころは30キロ過ぎだと認識しているようにも見えた。

このまま、このリラックスした走りでいけば、もしかしたら、課題のタイムをクリアし、
オリンピック代表の切符を手にするかもしれない。
そんな気持ちを抱きつつ、彼の力走を観戦していた。


明らかに、アフリカの選手たちとは違う走りをしている日本人選手たち。

日本人選手は、走ってる時、どのように意識を保っていけば良い結果につなげられるだろうか?
もしくは、アフリカの選手はなぜこんなにもマラソンに強いのか?
彼らの身体に秘められている特徴を見て、それを日本人に生かすということはできないだろうか?
そんなことも感じながら見ていた。


そして、私が注目していた選手は、30キロ過ぎたあたりから、少しずつ疲れが見え始めた。
足の運びもかすかではあったが、少しずつ遅くなっているように感じる。
次第に、先頭を走る選手とみるみるうちに距離が離れていく。
そのまま彼を観察すると、あることが私の心の中に、ふっとよぎった。

彼は、見るからに冷静な判断ができる選手。
しかし、この代表選考レースが近づくにつれて、少なからず、不安や緊張、その他諸々の、
どちらかというとネガティブな感情を持っていた時間があったのではないか。
もし、そうであったとしたら、このように長いレースになってくると、
後半になってその影響が出てきてもおかしくない。

これは、私なりの捉え方ではあるが、長年、意識と体の関係を研究してきて、
やはり普段の意識の持ち方は、本番に影響が出るであろうと、確実にそう思う。

(同じようなことは、箱根駅伝を観戦したときも感じていた)。


参考までに、以下に私が研究してきた内容の一部を示す。

意識の使い方で、身体や動作にどのように影響が出るのか。


身体は基本的に、身体、感情、精神意識という3つのエネルギー体でできています。
そのため、普段私たちが心に抱えていること、考えていること、捉えていること、緊張感や劣等感、
試合間際の不安な感情など、その意識の状態がエネルギーとなり、身体(同様に体を覆うような形で存在しているオーラ)の中に流れ、蓄積され、身体にかげりを見せるような形で、その動きに影響を与えます。
意識の状態の持続時間と強さにより、身体に対して負荷のかかるようなエネルギーが強く流れていくのです。

感覚としては、身体が重い、身体が思うように動かない、疲れやすい、また筋肉の張りや違和感など。




私が伝えている、身体についての最も基本的な捉え方です。



心で思ったこと、不安、緊張、嘆き、その他はこの図で言えば、感情体の層に流れ込んでいる。
そして、肉体の層と感情体の層は隣り合っていて、これが、感情の影響を大きく受ける理由と言える。
単純に、身体(その他オーラなど)の構造がそうなっているから、身体は感情の影響を受ける、ということなのだ。

競技によって違うだろうが、ハートの呼吸法をどのように活かしたら良いのか。

ハートの呼吸法とは、意識をクリアにできる呼吸法。
簡単に言えば、ハートとは愛そのものであり、そのエネルギーにより、私たちのネガティブな感情は、
中庸(落ち着いた)な状態に変換されていく。

つまり、たとえ、不安やその他のマイナスな感情により、身体が影響を受けやすい状態になっても、
ハートの呼吸法をすることにより、「ハート=愛」のエネルギーが全身をめぐり、
体内の感情による曇りを晴らすようにエネルギーが働いてくれるのだ。
そのため、日常的にこの呼吸法を行なうことは、心身の状態の調整において大変有意義であると感じている。

今日私が見た男子マラソンの代表選考レースで、もし、レース直前に浮かんできた不安などの心境が、
ハートの呼吸法とともにリセットされ、身体と心が中庸な状態へ戻せていたら、
また違った結果があったのかもしれない。
これは、あくまでも仮定の話ではあるが、今後、上記の手法がスポーツの場において
現実味を帯びることに、私は希望を持っている。


人の意識というものは、身体に大きな影響及ぼす。
普段の生活であれば、影響があっても多少は大丈夫かもしれない。
しかし、一発勝負の世界では、普段の意識の持ち方や、抱く感情の調整が、非常に重要な意味を持つ。
そんなことを改めて感じた一日だった。


2019年12月03日